山本 マサヤ
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日本でも心理学的手法を使って、相手の嘘を見破る刑事ドラマは複数あり、その知識を身につけようと、何度も見直してしまう人も多いのではないでしょうか?
そのドラマを観ることで、自分の嘘発見能力の向上を期待する人は多いのではないでしょうか?(私も当初はそう願っていた。)
しかし、そのようなドラマを観て、嘘発見能力が向上するのでしょうか?
“ライ・トゥ・ミー 嘘は真実を語る”という海外ドラマをご存知でしょうか?
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このドラマは、
精神行動分析学者であるカル・ライトマンが、「微表情」と呼ばれる一瞬の表情や仕草から嘘を見破ることで、犯罪捜査をはじめとするトラブル解決の手助けをする姿を描く。主人公であるカル・ライトマンは、実在の精神行動分析学者であるポール・エクマンをモデルにしている。実際にエクマンが体験したことが、そのまま主人公の過去として描かれている部分がある。
作品の随所で、嘘を見破る方法について紹介されており、私も面白くて何度も見直してしまう。
このドラマのモデルとなる、ポール・エクマン氏の著書を何冊か読んだこともあり、登場している手法が事実なのは分かるが。。。。。
このドラマを観ることで、嘘発見能力が向上するのだろうか?
この疑問について、ミシガン大学の”ティモシー・R・リヴァイン”が、Lie to meを視聴することによる、嘘発見能力の向上についての実験を行っている。
(参照:The Impact of Lie to Me on Viewers’ Actual Ability to Detect Deception)
実験には108人の平均年齢19.7歳(18〜26歳)の男女が参加しており、これからを3つのグループに分けた。
1.Lie to meを観るグループ
2.別の犯罪ドラマ(Numb3rs)を観るグループ
3.ドラマを観ないグループ
それぞれのグループが、ドラマ視聴後に12のインタビュー映像を観て、それぞれが、嘘をついているか・真実を言っているか判定してもらう。
このインタビュー映像のうち、6つが真実を話しており、6つが嘘をついている。
被験者はそれぞれの映像をランダムに見せられ、真実を話しているか嘘をついているか判定する。
結果は以下の通り、
Lie to me視聴者の嘘発見の正確性は58.8%
他のドラマを視聴した人の嘘発見の正確性は53.8%
何もドラマを観なかったグループは56.2%
つまり、
Lie to Meを観ても、嘘発見能力はほとんど向上しない。
さら悪いことに、真実であると判断する能力が減少している
逆効果である。。。。
これは、紹介されている手法をそのまま相手に当てはめて、相手の心理状態を推測することで、見誤ってしまうことが原因だと考えられます。
「部下におごる人は出世する」という法則(?)を、何の疑いもなく信じて・実行してしまうのと一緒です。
ボディーラングエッジは、相手のクセや文化的な違いによる影響も大きいので、その点を考慮し、読み取った情報は”相手の心理状態を読み取るヒント”でしかないと肝に銘じておくことが重要だ。
By Paul・Ekman
私のセミナーでも、相手の考えていることを予測する手法について紹介しているが、必ず最後に、「これは、相手の心理状態を予測するヒントでしかない。相手の微表情やボディーラングエッジから相手の心理状態に確信を持つのは危険である。」と忠告しています。
嘘を見破るテクニックはとても魅力的ですが、ただ、盲目的にそのテクニックを信じてしまうのは危険であると言えるでしょう。
さて、Lie to Meを観よう。笑”
参照:
・The Impact of Lie to Me on Viewers’ Actual Ability to Detect Deception
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