山本 マサヤ
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「ピグマリオン効果」という名前は有名なので、知っている人は多いかもしれません。
一般的な理解はこんな感じでしょうか?
ピグマリオン効果とは、他者からの期待を受けることでその期待に沿った成果を出すことができるという心理効果のことをいいます。
上司が部下に対して「君のこと、とても期待しているからね!」と言っていればメキメキ成長して優秀になっていく・・・・という理解の人が多いかもしれませんが、それは違います。
逆に、部下にとってはただのプレッシャーになっているだけかもしれません。
ちょっと、元となったRosenthal(1968)の小学校で行われた論文を見てみましょう。
結論から言うと、ピグマリオン効果は「生徒が期待に応えようとした」のではなく、「先生が生徒の可能性に期待した行動を取ったから」起こるのです。
実験ではオーク・スクール小学校の教師たちにランダムに選んだ生徒をリストアップして「この生徒は伸びる」と伝えて8ヶ月後に児童たちに知能テストを実施しました。
その結果、「この生徒は伸びる」と教師に伝えられていた生徒のIQは、そうでなかった生徒に比べて伸びの程度が大きかったのです。
確かに、教師が期待すると生徒の成績が伸びるように思えますが、ちょっと曖昧すぎませんか?
というか、期待して成長を丸投げしてる感じが・・・・
Brophy(1970)はピグマリオン効果について改めて実験をおこなっています。
それは、教師の「この生徒は伸びる」と「この生徒は伸びない」と言われた生徒に対する対応の傾向の違いです。
その結果、「この生徒は伸びる」と言われた生徒への教師の対応について有意な差があったのは以下の3点
・誤答に対する叱責が少ない
「この生徒は伸びる」と言われた生徒には、答えが間違っていても怒る頻度は少なかった。
・読み方の困難さに対する質問の繰り返しやヒントの付加する
「この生徒は伸びる」と言われた生徒には、ヒントや質問を通して自分で乗り越えれるようにサポートした。
・回答に対するフィードバックを行なった
「この生徒は伸びる」と言われた生徒には、「よくできました」などのフィードバックはちゃんと行った。
ピグマリオン効果は「期待」が引き起こすのではなく、期待による教師の行動の変化が生徒のIQ向上に繋がっています。
なので、ピグマリオン効果を職場で使うのならば、上司が部下に対して「君のことは期待しているから!」と伝えるのではなく、例えば、社長から上司に対して「今年の新入社員は期待できるなぁ」と伝える。できれば、その社員の優秀なポイントをリストアップするなど、根拠を明確にするとよいでしょう。
上司が「君のことは期待してる!」と伝えれば、部下が「期待されてる!!!頑張ろう!!」と勝手に成長するような魔法なのではなく、上司の期待する行動が部下を成長させるんです。
部下に丸投げするのではなく、部下の成長には上司の適切なマネージメントが必要です。
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