2017-05-13

『叱って伸ばす派』『褒めて伸ばす派』心理学的に効果的なのは?

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山本 マサヤ

【心理戦略コンサルタント&メンタリスト】 『心理学で人間の不思議を解き明かして社会実装する』 心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ため、心理学を駆使したマーケティング戦略立案や人材育成のセミナーを開催。 また、メンタリズムという心理誘導や読心術のエンターテイメントショーも行う。 トップランナー100人選出(クラウドワークス株式会社、株式会社サイバーエージェント)/MENSA所属 詳しい情報はについてはこちらから『about 山本マサヤ』 お仕事などのお問い合わせは『お問い合わせ』からご連絡ください。

こんにちは、山本マサヤです。

あなたは部下をお持ちですか?

または、教育している生徒はいますか?

 

もし、そのような立場の方だと『その人を成長させる』というミッションをお持ちだと思います。

しかし、人を教育するのはとても大変なことだと思います。

「定時に帰りたい」「土日もバリバリ働きたい」など、人によって価値観や仕事感が違うため、

あなたの期待した通りに動いてくれるわけではありません。

 

また、部下・生徒もまだまだ十分なスキルがないため、失敗を何度かすることになるでしょう。

 

その時、あなたは

 

『叱って伸ばす派』ですか?

例:「全然ダメじゃないか!」「これがダメだ!」

 

それとも、『褒めて伸ばす派』ですか?

例:「ここまではよく頑張った」「この点はよかった」

 

部下・生徒を成長させるためにどちらが有効なのか、

心理学的に検証していきましょう。

 

 

[su_heading size=”20″]叱って伸ばす派[/su_heading]

部下の失敗に対して、「何やってるんだ!」と叱って次に失敗しないようにする場合、

部下は失敗に対する恐怖心から仕事へストレスを感じるようになります。

 

ストレスが仕事の生産性をアップさせるという研究結果があります。

その研究によると、ストレスと生産性の関係は以下のようになっています。

 

 

ストレスレベルが低すぎると、本人はプレッシャーを感じないので、生産性は低いです。

逆にストレスレベルが高すぎると、本人がプレッシャーに押しつぶされてしまい生産性が低くなってしまいます。

このちょうど中間くらいのストレスを与えることで、人の生産性は最大のパフォーマンスを発揮します。

これは、人間の脳の仕組みによるものだと分かっています。

 

人はストレスを感じると、脳内でノルアドレナリンという化学物質を分泌します。

ノルアドレナリンは人の集中力や判断力、作業効率を向上させる効果があります。

 

 

また、長期記憶、学習能力を高める効果なども確認されています。

しかし、このノルアドレナリンは多量に放出されれば良いというものではなく、

生産性を向上させるちょうどいい量があります。

ストレスが強すぎると、人間の脳内ネットワークが縮小して、生産性の低下・自信の喪失へと繋がることがわかっています。

 

 

つまり、人は適度なストレスを感じることで、脳内でノルアドレナリンが放出されて生産性の向上に繋がります。

 

ただ、上司・教育者であるあなたがどうこうよりも、部下・生徒のマインドセットの問題でもあるので、部下・生徒へのマインドセット教育も必要となってくるかもしれません。

また、ストレスが強くなりすぎて、うつ病になってしまう可能性もあるので、

向上心が高く、ストレスを感じることを楽しめる人のみが対象になります。

 

[su_heading size=”20″]褒めて伸ばす派[/su_heading]

ピグマリオン効果というものをご存知でしょうか?

教授-学習場面において、教師が学習者に対し、学習の効果について
何かしらの期待や予期を持つとします。

すると、その期待や予期が学習者に意識的・無意識的な影響を与えて、
結果として、期待や予期通りの成績になってしまう
ということを示しています。

出典:心理学用語集

 

つまり、部下・生徒に対して「君は面接した時から目をつけていた」「君は将来、うちの会社の最前戦で戦える人材になれると思っている」など、部下・生徒に対して『こうなって欲しい』という期待を伝えることで、その通りの行動を起こしてしまうという心理効果です。

 

また、この心理効果を使って「お客さんが君のコミュニケーション力を褒めていたよ!」「君の提案はロジカルだから分かりやすい」と、部下・生徒の長所を伝えることで、そのスキルに自信を持ち強化する行動を起こします。

 

また、人間は承認欲求を持っているため、褒められると嬉しいものです。

では、どうやって褒めたら部下・生徒の成長に効果的なのでしょうか?

 

スタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック博士が、学生を対象に行った実験によると、

『能力を褒めると生徒の知能が下がり、努力を褒めると生徒の知能が上がる。』ということが分かっています。

なので、あなたの部下・生徒を褒める時は、「君は頭がいいね」「優秀だね」などの能力ではなく、

「いつも頑張ってくれてありがとう」「遅くまでお疲れ様」「分かりやすい資料で助かるよ」などの努力を褒めることでその後の成長意欲にドライブがかかります。

 

人間の怒りの感情のピークは6秒ということが分かっています。

怒りたくなる気持ちをぐっとこらえて、部下・生徒の成長のために褒めることから初めてみるのはいかがでしょうか。

 

[su_heading size=”20″]褒めない・厳しくしない派[/su_heading]

最後に、アドラー心理学においては、褒めることも怒ることも否定しています。

理由は、「褒めることは相手の自律心を阻害し、褒められることに依存する人間をつくり出してしまうことになるから」だとアドラーは言う。

「もう一度褒められたい」と願うことは、すなわち褒められることへの依存であり、褒められることばかりやろうとする姿は自律性を欠いた状態にほかならない。

裏返していえば、人を褒めるという行為は、相手の自律性を奪って、コントロールしやすい都合のいい人間に仕立てようとしている行為だということになる。

と述べられています。

 

↓さらに詳しくは、PRESIDENT Onlineさんが分かりやすくまとめてくれてますので、ぜひ、ご覧ください。↓

 

 

[su_heading size=”20″]まとめ[/su_heading]

様々な実験結果を読んでみると。叱って伸ばすのはリスクが大きい可能性があります。

確かに、メリハリは必要なので叱ることは必要ですが、

部下・生徒のモチベーションコントロールをするには褒めて伸ばすという手段も効果的だと思われます。

 

部下・生徒が新しい領域にチャレンジできるように『褒めて』モチベーションコントロールを行い、新しい領域でのストレス(プレッシャー)からノルアドレナリンを分泌し生産性を向上させることができれば理想的ですね。

 

参照:

How to turn stress and panic into productivity

スタンフォードの心理学教授に学ぶ子供の教育方法

営業学 ピグマリオン効果:部下を持つ上司に必要なモチベーションを高める教育方法

アドラー心理学が教える「人を褒めてはいけない」理由

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