2017-12-24

競争が人をダメにする心理学的な理由

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山本 マサヤ

【心理戦略コンサルタント&メンタリスト】 『心理学で人間の不思議を解き明かして社会実装する』 心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ため、心理学を駆使したマーケティング戦略立案や人材育成のセミナーを開催。 また、メンタリズムという心理誘導や読心術のエンターテイメントショーも行う。 トップランナー100人選出(クラウドワークス株式会社、株式会社サイバーエージェント)/MENSA所属 詳しい情報はについてはこちらから『about 山本マサヤ』 お仕事などのお問い合わせは『お問い合わせ』からご連絡ください。

こんにちは、メンタリストの山本マサヤです。

 

「競争が人をダメにする」「競争は無くすべきだ」「徒競走は全員でゴールすべきだ」

などなど競争に対する批判的な意見はいつからか出てきました。

 

個人的には、競争することは大賛成です。

ライバルとの競争があるからこそ、切磋琢磨し合い爆発的な成長が起きます。

また、競争による順位や勝ち負けは人の承認欲求を刺激するので、人間の欲求を活用した効果的な方法です。

 

ただ、競争の方法や誰をライバルに置くかによって、

敗者のモチベーションを下げてしまう可能性があることが分かっています。

 

[su_heading size=”20″]非競争的報酬[/su_heading]

 

競争とモチベーションの関係について、以下の実験が行われました。

 

実験内容

2人1組みになってもらい、それぞれが課題に取り組んでもらいます。

課題が終わると2人の成績が発表されます。

この事件では、2種類のグループが作られています。

Aグループ

成績が良かった方には報酬がもらえるグループ

(相手との競争を行うグループ)

Bグループ

成績に関係なく2人ともが報酬をもらえるグループ

(相手との競争ではなく自分自身と競争を行うグループ)

 

この実験の目的、「どちらのグループの方が質の高いアウトプットを出したか?」

を比較する実験ではなく、「成績に対する、敗者と勝者の向き合い方」を検証しています。

 

どういうことか、実験の結果から見ていきましょう。

Aグループ

成績の結果を自分の能力や運と結びつける人が多かった

勝者:「私には実力がある!」「私は強運の持ち主だ!」

敗者:「私には実力がない・・」「私には運がない・・」

Bグループ

成績の結果を自分の努力と結びつける人が多かった

勝者:「私はよく努力した」

敗者:「私は努力が足りなかった」

 

つまり、Aグループは自分の能力を過信・卑下してしまい、競争を繰り返して行くうちにモチベーションが下がっていってしまう傾向にあります。

そのうち、勝者や敗者が固定化されていってしまいます。

 

その一方、Bグループは自分の努力の量を評価しており、敗者であっても「次はもっと頑張ろう!」と考えるため、競争に対するモチベーションが向上されます。

Bグループの競争相手は常に自分です。

自分がどれだけ努力したのか、努力できなかったのかと向き合っています。

 

 

このBグループのような、勝者にも敗者にも報酬を与える競争方法を非競争的報酬と言います。

競争をさせるならば、両者に報酬を与えて、競争に対するモチベーションを向上させる方法が、会社や学生などの集団の成長力をアップさせる効果的な競争のサイクルを生みます。

 

アニメ Fate/stay nightでもアーチャーは言ってました。

―――忘れるな。イメージするのは常に最強の自分だ。
外敵など要らぬ。
おまえにとって戦う相手とは、自身のイメージに他ならない。

この発言は心理学的に正しい!
(↑個人的に好きなアニメだったので、引用させてもらいました)

参照:

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コメント2件

  • Sam Kumasawa より:

    マサヤさんこんばんは。初コメントします!

    非常に興味深い実験結果、大変勉強になります。

    質問ですが、Bグループの報酬について
    ・成績によって差を付けるのか?付けないのか?
    ・競争相手がいくらもらったのかが分かるのか?分からないのか?
    です。

    私見では、成績によって報酬額の差は付けず、競争相手にそれを知らされていないのではないかと思いますがいかがでしょうか。

    また、非競争的報酬は「手段のはっきりしている競争(アルゴリズム的仕事)」と「手段が分からない競争(ヒューリスティック的仕事)」の両面で競争意識の醸成に効果があるのかも気になりました。

    たとえば、「折り紙で鶴を早く折る(アルゴリズム的仕事)」という目標に於いて、非競争的報酬は効果があるのか。
    「折り紙で笑える物を折る(ヒューリスティック的仕事)」という目標では、どうか。

    いずれにしても、とても面白い内容です!ありがとうございます。

    • masayamamoto より:

      飲み会では、お世話になりました。笑”
      コメントありがとうございます!

      最初の質問ですが、書籍を確認してみたのですが、
      その点について記載がありませんでした。
      ただ、報酬に違いを出してしまうと、競争的報酬になってしまうので、
      全員に同じ報酬を渡しているはずです。
      なので、他の人も同じ報酬をもらっていることを認識していると思います。

      2つ目の質問ですが、
      アルゴリズム的仕事では競争的報酬は人の生産性を上げるという実験結果は出ているようです。
      逆にヒューリスティック的仕事において、非競争的報酬の方が、生産性の高いアウトプットを出すそうです。

      例えば、「地頭を使う問題でどちらのグループ方が、先に答えを出すか?」
      「アートの分野でどちらのグループの方が評価の高い物を作るか」という実験を
      ダニエル・カーネマンというノーベル経済学賞を受賞した方が行なっていました。
      なので、ホワイトカラーやクリエイティブ・クラスには、「残業代100万円上げるから、もっといいの考えてみて」
      では、よりクリエイティブなアウトプットは出て来ないということですね。

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